ファッション雑誌やSNSで「ドメスティックブランド」という言葉を目にする機会が増えています。
セレクトショップでは「ドメブラ」という略称で呼ばれることも多いようです。
しかし、具体的に何を指すのか、明確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

本記事では、ドメスティックブランドの意味から代表的なブランド一覧まで、分かりやすく解説していきます。

1.ドメスティックブランド(ドメブラ)とは何か?

ドメスティックブランド(ドメブラ)の意味

ドメスティックブランドとは、「ドメスティック(domestic)」=「国内の」という英語から来た言葉で、直訳すれば「国内ブランド」という意味です。ファッション業界やセレクトショップでは、略して「ドメブラ」と呼ばれることもあります。

ただし、日本のファッション業界では単に「日本のブランド」というより、「日本発のデザイナーズブランド」という意味で使われることが多いです。なぜこのような使い分けがされるのかは、このあとご説明します。

具体的には、コム デ ギャルソン、ヨウジヤマモト、アンダーカバーといった世界的に知られるブランドから、AURALEE(オーラリー)、COMOLI(コモリ)、YAECA(ヤエカ)など、近年人気を集めているブランドまで幅広く含まれます。

重要なのは「日本発祥」であること。たとえ生産が中国やベトナムなど海外で行われていても、ブランドの出自が日本であれば、ドメスティックブランドと呼ばれます。

2.ユニクロはドメスティックブランド?

厳密に言えばユニクロも日本発のブランドですが、
ファッション業界で「ドメスティックブランド」や「ドメブラ」という場合、通常は含まれません。

この用語は主に、セレクトショップが扱うような中〜高価格帯のデザイナーズブランドやコンテンポラリーブランドを指す業界用語として定着しています。

ユニクロやGU、無印良品などは「ファストファッション」や「大手SPAブランド」として別カテゴリーで扱われるのが多いです。

ドメスティックブランドに含まれるもの

・セレクトショップで扱われるブランド

・個人や少人数で運営するデザイナーズブランド

・ファッションビルに入っている個性的なブランド

ドメスティックブランドに含まれないもの

・ユニクロ、GU、無印良品(大手SPA)

・しまむら、ハニーズ(ファストファッション)

・青山、AOKI(ビジネススーツ専門)

はっきりとした線引きはありませんが、「デザイナーの思想やこだわりが強く反映されているか」が判断基準になっているようです。

3. インポートブランド(海外ブランド)との違い

インポートブランドとは、海外から輸入されるファッションブランドのことです。
ドメスティックブランドと比較すると、いくつかの明確な違いがあります。

ドメスティックブランドとインポートブランドの違い

もちろん日本生まれか海外生まれかという違いはありますが、実はもっと重要な違いがあります。

それは「誰に向けて作られているか」です。

ドメスティックブランドは日本人の体型、日本の気候、日本人の好みを前提に作られています。だから「なんか着やすい」「しっくりくる」と感じることが多い。

一方、インポートブランドは基本的にその国の人向け。
イタリアブランドの鮮やかな色使いや、フランスブランドの大胆なシルエットは、現地の街並みや文化の中では自然に溶け込むもの。でも日本で着ると「おしゃれだけど、ちょっと勇気がいる」「特別な日じゃないと着づらい」と感じる人も多いのではないでしょうか。

例えば、同じ白シャツでも:

ドメブラ:襟が小さめ、着丈短め、すっきりしたシルエット
インポート:襟が大きい、着丈長い、ゆったりしたシルエット
この違いが、実際に着たときの「似合う・似合わない」に直結します。

価格差の実態

例えば白シャツ。ドメスティックブランドなら2〜3万円で買えるものが、インポートだと5万円以上することも珍しくありません。品質はそこまで変わらないのに、なぜこんなに差があるのか。

理由はシンプルで「日本に来るまでにお金がかかるから」です。

衣類には約10%の関税がかかります。そこに輸送費、日本での保管費用、そして為替レート。
特に最近の円安は厳しく、3年前と比べて同じ商品でも2〜3割値上がりしているケースも。

さらに、同じ商品でも日本での販売価格がヨーロッパより高く設定されることも珍しくありません。

ドメスティックブランドインポートブランド
価格(同品質なら2-3割安い)△(関税・輸送費で高め)
サイズ(日本人の体型に最適化されている)△(お直しが必要になる場合も)
希少性△ 国内で入手しやすい(一般的)(海外限定の特別感)
納期◯ 在庫があれば即購入△ 海外取寄せで時間
アフターケア◯ 国内で対応可能△ 海外送付の場合も

4.ドメスティックブランドがいい5つの理由

ドメスティックブランドには下記のメリットがあります。

理由1:日本人の体型に合う
最初から日本人の体型を想定して作られているため、サイズ直しが不要なことが多い。特に肩幅や着丈が自然にフィットします。

理由2:価格面でのメリット
同等品質のインポートブランドと比べて2〜3割安い。
関税や輸送費がかからない分、コストパフォーマンスが良い。

理由3:実店舗で試着しやすい
国内に直営店や取扱店が多く、実際に触って、着て確認できる。
返品・交換も比較的スムーズ。

理由4:日本の気候に適している
高温多湿な日本の夏、寒暖差の激しい季節の変わり目など、日本の気候を考慮した素材選びやデザイン。

理由5:アフターケアの充実
修理やメンテナンスが受けやすく、ブランドとの距離が近い。

5.代表的なドメスティックブランド

ドメスティックブランドには、世界的に評価されるブランドから、近年注目を集める新鋭まで、さまざまなブランドが存在します。ここでは、代表的なブランドを紹介します。

世界的に有名なブランド

コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)

設立:1969年
デザイナー:川久保玲
展開:メンズ・レディース
価格帯:トップス30,000〜80,000円、ジャケット100,000円〜
特徴:黒を基調とした前衛的なデザインで、世界のファッション界に衝撃を与えた日本ブランドの代表格

ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)

設立:1972年
デザイナー:山本耀司
展開:メンズ・レディース
価格帯:トップス40,000〜100,000円、アウター150,000円〜
特徴:黒の美学とドレープを活かしたデザインが特徴。パリコレクションでも高い評価を受ける

アンダーカバー(UNDERCOVER)

設立:1993年
デザイナー:高橋盾
展開:メンズ・レディース
価格帯:トップス20,000〜50,000円、アウター80,000円〜
特徴:ストリートとモードを融合させた独自の世界観で、国内外に熱狂的なファンを持つ

イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)

設立:1970年
デザイナー:三宅一生(現在は後継デザイナー)
展開:メンズ・レディース
価格帯:トップス30,000〜60,000円、プリーツ製品50,000円〜
特徴:プリーツ加工や一枚の布から作る服など、革新的な技術とデザイン

近年人気のブランド

AURALEE(オーラリー)

設立:2015年
デザイナー:岩井良太
展開:メンズ・レディース
価格帯:トップス15,000〜30,000円、アウター50,000〜100,000円
特徴:上質な素材にこだわり、シンプルながら洗練されたデザイン。大人のベーシックウェアとして人気

COMOLI(コモリ)

設立:2011年
デザイナー:小森啓二郎
展開:メンズ・レディース
価格帯:シャツ20,000〜35,000円、パンツ25,000〜40,000円
特徴:日本の古着や作業着からインスピレーションを得たデザイン。ゆったりとしたシルエットが特徴的

sacai(サカイ)

設立:1999年
デザイナー:阿部千登勢
展開:レディース・メンズ
価格帯:トップス40,000〜80,000円、アウター100,000円〜
特徴:異素材の組み合わせやハイブリッドなデザインで、NIKEとのコラボでも話題

YAECA(ヤエカ)

設立:2002年
デザイナー:服部哲弘、井出恭子
展開:メンズ・レディース
価格帯:トップス12,000〜25,000円、アウター40,000〜80,000円
特徴:「必然的にシンプル」をコンセプトに、長く着られる普遍的なデザインを提案

STILL BY HAND(スティルバイハンド)

設立:2000年代
展開:メンズ
価格帯:トップス10,000〜20,000円、アウター30,000〜60,000円
特徴:メンズの日常着に特化。品質とデザインのバランスが良い

nanamica(ナナミカ)

設立:2003年
デザイナー:本間永一郎
展開:メンズ・レディース
価格帯:トップス15,000〜30,000円、アウター40,000〜80,000円
特徴:機能性とファッション性を両立。THE NORTH FACEとのコラボラインも展開

NEEDLES(ニードルズ)

設立:1988年
デザイナー:清水慶三
展開:メンズ・レディース
価格帯:トップス20,000〜40,000円、トラックパンツ25,000円〜
特徴:アメリカンヴィンテージを日本的解釈で再構築。トラックパンツが特に人気

WACKO MARIA(ワコマリア)

設立:2005年
展開:メンズ
価格帯:シャツ25,000〜40,000円、アウター60,000円〜
特徴:音楽や映画からインスピレーションを得た、色気のあるデザイン

これらはほんの一例。日本には他にも魅力的なドメスティックブランドが数多く存在します。
※価格は参考価格です。実際の価格は商品により異なります。

6.なぜ今ドメスティックブランドが注目されるのか

近年、ドメスティックブランドへの注目が高まっています。
下記の理由があるからです。

円安による価格メリット

イオンモール須坂のユニクロでは、オープンを記念した特別なコラボレーション商品が販売される予定です。長野県の人気菓子「ヨーグレット」と「ハイレモン」とのコラボレーションTシャツ&トートバッグが、須坂店限定で展開されます。

世界が認める日本ブランド

コム デ ギャルソンやヨウジヤマモトが切り開いた道を、sacaiやUNDERCOVERなどが継承し、日本のファッションは世界で高く評価されています。パリやミラノのコレクションでも、日本ブランドの存在感は年々増しています。

「推し活」感覚で応援買い

好きなブランドを買うことで、日本の職人さんや工場を応援できる。SNSで「このブランド最高」って発信すれば、ブランドの成長に貢献できる。そんな「推し活」的な楽しみ方も広がっています。

インフルエンサーの影響

InstagramやTikTokでおしゃれな人たちが「実はこれ、日本のブランドなんです」って紹介すると、一気に注目が集まる。情報の広がり方が昔とは違います。

7.ドメスティックブランドが買える場所

ドメスティックブランドはどこで買えるのか。実店舗からオンラインまで、主な購入場所を紹介します。

セレクトショップ

BEAMS(ビームス)

全国展開している定番セレクトショップ。
オリジナルブランドも含め、幅広いドメスティックブランドを取り扱い。

UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)

大人向けのセレクト。価格帯は高めだが、品質の良いドメスティックブランドが揃います。

STUDIOUS(ステュディオス)

ドメスティックブランド専門。
取り扱いの90%以上が日本ブランドという徹底ぶりです。

百貨店

大手百貨店のメンズフロアには、多くのドメスティックブランドが入っています。
伊勢丹、阪急、高島屋、大丸などの百貨店をチェックしてみてください。

オンライン

各ブランド公式サイト

最新アイテムや限定品はここでチェック。

ZOZOTOWN

品揃えは最強。セールも頻繁にやっています。

8.まとめ

ドメスティックブランドとは、日本発のデザイナーズファッションブランドのこと。コム デ ギャルソンやヨウジヤマモトのような世界的ブランドから、AURALEEやCOMOLIといった今注目のブランドまで、幅広いラインナップがあります。

インポートブランドと比べると、日本人の体型に合いやすく、今の円安を考えれば価格面でもメリットがあります。

もし興味が湧いたら、まずはセレクトショップに行ってどの商品がドメスティックブランドなのか探してみてください。その一着が、あなたのファッションを変えるきっかけになるかもしれません。

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